陰嚢・精巣の病気

陰嚢水腫

陰嚢(いんのう)水腫とは陰嚢に水が溜まって膨らんだり、左右の大きさに違いが出たりする病気です。
「きんたまに水が溜まっている」「きんたまが腫れている」などと言われて受診される方が殆どですが、痛みを感じられる方もおられます。
小児と成人で原因や治療法は異なります。

陰嚢水腫の原因

陰嚢水腫の原因は大人と小児で異なります。そのため治療法も異なってきます。
大人の陰嚢水腫は非交通性と呼ばれ、精巣を包む漿膜という膜の内側にリンパ液が溜ることで発症します。
小児の陰嚢水腫は交通性と呼ばれ、本来なら閉じている腹膜と精巣漿膜の間が閉じずに腹膜と漿膜の間に交通性が生まれ、腹水が漿膜に溜まることで発症します。本来、精巣は腹腔内に存在し、胎児のうちに陰嚢内に降りてきます。

小児の場合

胎児のときに陰のうに睾丸が降りてくる通り道が完全に閉じなかったことで水が溜まってしまった状態です。ほとんどは無治療で治癒しますが、改善しない場合は通り道を閉じる手術を行います。

成人の治療

陰嚢穿刺(内容液を排出)で一時的に改善します。ほとんど再発するため、再発を繰り返す場合は、漿膜(しょうまく)を除去する手術が必要となります。

精巣腫瘍

精巣にできる悪性腫瘍で、発症頻度は男性10万人に1人と言われています。
約10万人に1人と発生頻度は高くないですが20~40歳の若い男性に多いのが特徴です。進行が速い疾患のため、注意が必要です。
陰嚢の腫れやしこり(特に痛くない場合が疑わしい)に気づき、見つかることが多いです。
腫瘍が小さくても転移を来すことがあります。

症状

精巣の中にしこりを認めたり、痛みをともなわず精巣が腫れることで発見されます。
進行も早く、転移するケースもあるため、入浴時に自身でチェックし、しこりがある場合は泌尿器科医に相談しましょう。

診断方法

触診のみで診断しますが、補助診断として超音波検査や腫瘍マーカーを調べるための血液検査を行います。転移している可能性もありますので、CT検査も行います。

治療方法

手術で精巣を取り出し、診断的治療を行います。取り出した精巣を顕微鏡で検査して組織検査を行い、追加治療の有無を判断します。精巣腫瘍にはセミノーマと非セミノーマがあり、治療方針が異なります。組織型や進行の程度により化学療法や放射線治療を行いますが、進行していてもかなりの治療効果が期待できます。

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